うたうように、はなすように、ゆっくり、ゆっくり と。○
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tori cago
 
ー錆びついた家には
もう何年も、家主が帰っていない。


音もなく飛び去っていき
ひどく落ち込んでいたときに

君がそっと、
二羽の木鳥を連れて来てくれた。

家主の居なくなった家のことなど
すっかり忘れて、

木鳥を肌身から、離さないようにした。

いつだってお守りのように
同じものを身に纏うことが安らぎで
変わらないことが、当たり前だと思っていた。



真夜中にそっと、木鳥を離した。

それは、この子たちの意識からではなく
僕の手からであった。

今度は家ごと覆うことで、記憶から囀りさえを
真空パックにして葬ろうとしたけれど

ココロの奥はそれを、許さずに
“忘れる”という曖昧さを選んだ。



眠れない夜に、鳴き声がすると
帰ってくるのではないかと震える。

その震えは、恐ろしさではなく
あの頃の愛しさに似ていて

全てを想い返す前に、眠れるようにと瞼を閉じた。


幾つもの夜が明けて、夕暮れ。
ふと足元で その鎖は、鳴った。

栞代わりにというよりも
隠したように頁からストンと出てきた鳥かご。

錆びついた家には、家主が居ない。
あれは散歩の途中のこと。

ふと手を当てたら、その鳥は
鳥かごから飛び去っていってしまっていたこと。

緩んだ螺子を何度もつまんで
落ち込んだことを覚えてる。

落ち込む僕に、君は内緒で
あたらしい鳥かごに

二羽の木鳥をそっと住まわせてくれたこと。

“変わらないね”と言われても
変わらないことは、特別だった。

朝になれば木鳥を呼んで、
ふたりの会話にそっと耳を傾けることが
1日のはじまりだったのだから。


錆びた家には、もうきっと
家主は戻ってこないだろう。

だけど、真夜中 そっとあの声が聴こえたら
今度は“此処だよ”って、この扉を開けて居よう。

- 僕が、呼ぶよ。もう一度。



2012.6.25 tori cago
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小指に 光を、

 

小指の先に 光が降りて
いつか そっと 叶えてほしい

願いは 深く 胸に届いて
祈りは 明日の 朝焼けに 溶けて

想いは どうか 君を 伝って

その手は 風に 揺らめいて
髪は 靡いて 道を 辿って

想いは どうか 君を 伝って




-------------

小指にはめた、指輪は
春の光に 瞬いていた。

指輪は、小指ばかり。
飴玉みたいな 君が好き。

そのうち、君のもとへ
“会えますか?”と 伝えたいな。
 
その時は、笑って くださいね。
春、ひとまわり。 それは、余談です。


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月を 掬う 。


きっと 昼間の おつきさま。
( ううん 、きっと 夜のこと。)

ことばこ - -
台風の日 の キヲク。
台風が来ると
わかった日には、

-退屈だから って
映画を 借りに いっていた 。

とても 昔の
記憶 の キヲク 。

それは とても
特別なことで

そこには いつも
“銀河鉄道の夜”があった。
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Where did you go?


Where did you go?

Are you laughing?
Are not you crying?

Do you catch sight of the moon?
It is the voice of a bird to you?
Have you sung?

Do you remember warmth of my hand on a your mind?

If you are able to meet you some day, please let me know quietly.

Because its head is bowed in assent.
In the inside of your tale.

sleep well , see ya.

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傘をさして
 傘 を さ し て

- それは、とても怖いのに優しい気持ちで最期を迎えた。

傘をさして、歩いていた。
朝霧と静かな細い道。

頭はすっぽりと見えないように
隠れて君の、しっぽだけを
見つめて歩いていた。

傘をさして、歩いていたら
ふっと霧が晴れた気がした。

太陽かしら、と傘を上げたら
私の向かい側に裸の足。
小さくて白い、裸の足。

気が付けば、君は
ふせて寝息をたてていた。
濡れてはたいへん、と
すぐに抱き抱える。

柔らかいあたたかさ
いつもより心にくっつく
寝息に呟く。
「どうか、ごめんね。」

傘は上げずに、その足をみる。
- ねえ、ついてくるでしょう。

裸の足は、濡れてない。





傘をおいて、歩きはじめた。


どうか君が起きたなら
家路を迷わず、帰れますように。



fin 2007 ss
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Hand
眠くなるから 止めて、と顔を逸らしてしまう癖。私は本当に素直じゃない。この手がどんなに愛しいものかを、誰よりも感じているはずなのに。だから訂正する。

「もう眠いんだからね。」

全くもって、素直じゃない。そんな私に君は云うの。「おやすみ。」って眠るように私の頭を撫で続けている。静かな時間が流れている。音楽が恋しくなるくらい。テレビがついている訳でもなく、外でせめて雀が鳴いてくれないかなと思う程、本当はいつも緊張している。

こんな風に近すぎるくらいの距離にいるとき、君の鼓動に耳を当てることは忘れない。トクントクン、と優しい音。「此処に居るよ」と話してくれている。誰もが知ってる子守唄みたいに私にとっては大切な音。君の大きな掌がニット帽より心地好く髪を包んでくれたなら、夢の中を泳ぐことが出来る。

「本当に眠るよ?」
「おやすみ。」

君の手が目の上を被いそうなくらいにゆっくりと降りてくる。何度も、何度も、ただ降りてくる。

何度、この手を掴みたいと考えたのだろう。出会ったときから魅せられていた大きな掌。絶対に掴めないと思っていたんだ。


ぎゅっと左手を握りしめる。

世の中に、ひょんなことから離れてしまうものがあるならば、今は「どうかこの手だけは」と最大限の力で確かめていたい。

君も握り返してくれる。それが今ある確かなこと。

「ずっとね、」

その続きは、いつだって信じていたい場所に繋がっているはず。だけど今は「今」があるだけ。今日はその話は聞かないで眠るよ。

でもね、お願い。
目が覚めたとき、どうかこの手を握っていて欲しい。 明日も「またね」と言って欲しい。並んで歩くときは、この手を繋いで。

そして、素直じゃない私を慰めるように頭を撫でていて。

「おやすみ。」

20070320 -End-


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Nora

彼女のお気に入りは、白いパンプス。


Nora. 

ノラ」と呼ばれるようになったのは、余りにも気ままな装いをしているからだ。決して鼻高々なものはないけれど、兎に角「自由」だと云われる始末。何時だか彼女は、否定することが面倒になって「ああ、そうさ。」と笑うようになった。
「ノラ」はお気に入りの白いパンプスを履く。何処へ行くにも彼女は、かれに道を導を託す。セピア色のフィルムを手にして青空の下の影を追い歩くのが晴れの日の日課。「ノラ」にだって、夢はあるけれど囚われるより己を望んだ。気ままな気持ちで出逢った日常を小さなレンズに納めていく。 自分の寝癖にも、愛しさを抱く彼女は身近なものが好きだった。

―ただひとつだけを、除いて。

白いパンプスでさえ、その場所に来ると震えていた。眩しい日差しが世界を照らす中、雨で身体が冷えきったように。心だけが、バイブレーションを刻んでいくのに。
「ノラ」はたったひとつだけ、己の儘に出来ないものを心に抱えていた。今日は一歩進んでみよう、夜にはそう決めていたって朝には体が縮まるような想い。

「お、来たのか。随分、時間を明けて現れるよな。何ヵ月振り?本当に気ままだね、君は。」

耳に句読点が入る前に、全細胞が開花する。聞き馴れない声、でも深々と染み渡る。油絵の具が鼻孔を擽りながら。

「ノラ猫だって、一度安心する場所を決めたら定期的に来るのにさ。誰だい、君をノラだなんて呼ぶやつは。」

―いいえ、私はノラ。
夢は時間に許される限り、世界中を眺めて朽ちていくこと。白いパンプスとカメラが好きよ。何時だってみんなに「ノラ」と呼ばれて何にも縛られることもなく呼吸だって好き勝手。だけれど、何かが崩れた。呼吸が自由に出来ないとき、「貴方」が居る。「貴方」が私を捕らえている。深々と染み渡る声が私の細胞を包んで暗示をかける。

―自由ダナンテ言イ切レルノカ

「今日も、だんまりだね。」

面長な顔が、少しだけ沈んだ。そんな瞬間に出くわす度に「ノラ」はキュッと心を絞めた。今日ばかりは、言わんとした言葉が曖昧に溶けてしまいそうだった。

何時からか、「ノラ」と呼ばれる自分に満足をしているような感覚に襲われていた。楽しければいい、涙だって私のもの。昼間に抱いた哀しみは夜に流しきればいい。明日には、また楽しいことを探しにいける。それでいい。

だけれど「貴方」に出会ってしまった。取り返しのつかない、自由の剥奪。「ノラ」は「ノラ」だと云われる度に「自分」が誰なのかも失ってしまいそうだった。そんな時に出会った「貴方」はただ、求めてくれた。

私が本当は、「誰」なのかを。


「‥ラ、じゃないの。」
「え?」


本当は知ってる。誰かの前で涙できたらどんなに楽か。本当は分かっている。楽しいことを、分け合える誰かが居てくれたならどんなに素敵か。

自分を捕まえてくれている、何かがひとつぐらいは必要なことも。

深呼吸の後、白いパンプスが夕焼け色の染まっていることに気付いた。世界には沢山の色があるのだ。


「名前、呼んでくれる?」

それが、私と貴方のはじまり。
明日、早速春色のパンプスを探しに行こうと思う。


-End-20070227 【Nora】


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ある星で


夢のはなし。
別の星にいたころね。

君、というヒトがいた。

恋をしていた。
その「意味」を知らずに。

ただ分かっていたことは
花が咲く頃散っていき
実がなる頃に気付いたの。

言葉を持たないその星は
なんの恋も実らないで
一瞬の存在となって

遥かとおい時間の中で
砂となって、星になった。 

そのときの記憶が確かなら
私は(なんとなく)

誰を想っていたのかも
今なら分かる。

-もうかなわないから。

今なら分かる。
君、が誰なのかが。

-かなわなかったから。

恋をしていた。
-ある星で。

2007 ss xx


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